
Snow Slide / Under Water
Novel Sounds / UNS-033 / 2012.03.28
¥300 (digital download only)
ロングセラー・デビューアルバム「MODERN SYNTHESIS」より
人気曲「Snow Slide」と、1年ぶり待望の新曲「Under Water」
をカップリングした配信限定ダブルA面シングル。


特集@:ototoyにて期間限定先行FREE DL!!(3/15〜3/28)
特集A:[Snow Slide]PVを手がけて頂いた篠田監督のPV特集。


|
Snow Slide PV ※PV撮影風景がこちらで見られます。
1stアルバム『MODERN SYNTHESIS』聴いた直後、そこで構築されていた極めて洗練されたシューゲイズサウンドに想いを馳せながら、
「確かに素晴らしいのだが、これだけ完成された世界観を提示した後、次は一体どうするのだろう」と感じたのは私だけではないだろう。
この新曲「Under Water」を聴く直前もそのような不安を抱えていたのだが、それは全くの杞憂であった。
従来のBertoiaのサウンドを期待していた人はイントロのスローでアグレッシヴなギターサウンドにまず大きな衝撃を受けるに違いない。
1stではギター(これは他の楽器にも言えることだが)はBertoiaという世界観の構築にその身を投じており、あの美しい音のレイヤーの1つとなっていた。
しかし、この新曲におけるそれはまるで前作での己の身ぶりを忘却したかのように快活に鳴り響き、その存在を主張する。
J・マスキスとキム・セイルの間に位置するようなこのギターサウンドはこの曲における最大の特徴だ。
また、楽器の自己主張ということに関してはドラムにも全く同じことが言える。
以前、Bertoiaのライヴを観た時、そのドラムのパワーに驚かされたものだが、この音源では1stにはそこまで強く感じることのできなかったドラムの
生き生きとした迫力を感じることができ、これが新曲に漲る強力なエネルギーの原動力となっている。
そして、そのギターとドラムのプレイを時に支え、時にその合間をすり抜けながら安定した存在感を示すベースは、1stと音の連続性を唯一明確に残している
楽器であり、非常に頼もしい存在感を放っている。どれだけギターとドラムが変化しようとも、一聴すればこの曲がBertoiaのものであるとすぐにわかるのは
ひとえにmurmurのヴォーカルのおかげだろう。この曲で初めて彼らは日本語歌詞に挑戦しているのだが、その大きな変化の中でも、彼女の優しく儚げな、
風景に溶け込んでゆくようなその声は健在である。以前と変わらずに、いやそれ以上に彼女の声は、このギターとドラムの存在感が増した曲において
それに負けることなく強力に響き渡っている。それに気づいた時、あれほど繊細で柔らかに感じていた彼女の声が、実は圧倒的な声の力を有している
という事実を痛感した。どのように演奏が変化しようとも、彼女の声さえあればBertoiaであり続けることができるという彼らの圧倒的な確信が
この新曲の存在を可能にしていることは間違いない。
前作において完成された彼らの文体を継承しつつも、そこにいくつかのトライアルを重ね、新しい境地に一歩踏み出すことにこの新曲「Under Water」は
成功している。ここで花咲いたいくつかの要素が次のアルバムではどのように結実するのか、早くもまた「次」が楽しみでならない。
八木 皓平(クッキーシ―ン/BLACK PAST/Knowledge Chair)
|